天よ、露を滴(したた)らせ、雲よ、義人を降らせよ。
▲地よ、開きて救世主を出(いだ)せよ。(イザヤ 四十五ノ八)
わが天主、わが救世主なるイエズス・キリスト。われらはこの待降節中、けいけんの念もて、旧約の太祖、預言者、および義人らが、主の御恵み豊かなる御来臨(ごらいりん)を祈り求めし、その熱望を思いめぐらし奉る。
▲主は限りなく御あわれみと愛とをもつて、太祖に与え給いし御約束を果し給えり。すなわち永遠(えいえん)の知なる主は天降りて(あまくだりて)、その完全なる御教え(みおしえ)は御教えの光をもつてわれらの精神の暗きを照らし、罪のきずなを解き、悪魔の力をくじき、われらと天の御父との間に、平安とわぼくをもたらし給えり。されば天と地とは声をあわせて、主が人となりておこない給いし救いの御業(みわざ)をたたえ奉る。
主イエズスよ、われらは太祖、預言者たちと共に、御身が御約束のキリスト、世の救い主にして、道、真理、生命にてましますことを堅く信じ奉る。
▲願わくはわれらを恵みて、熱心なる祈りの精神と深き痛悔の心とを与え、主の御降誕を迎えまつるにふさわしき準備をなさしめ給え。
主イエズスよ、今こそ主は御みずからわれらに来(きた)り、霊的に生まれ給いて、その聖なる御託身の御恵みをわれらに与え給わんとす。そはわれらが主の如く天主の子として、天主と人との前に知恵と聖寵のいやまさんがためなり。
▲さればわれらは聖なる慎みをもつて、すべて世間の楽しみを打ち棄て、心を浄めて、主の御ためにふさわしき住家(すみか)を備え奉らん。
救霊のあけぼのなる聖マリア、イエズス・キリストの先駆者なる聖ヨハネ、主の御来臨を祝い奉るにふさわしき準備をなし得(う)る御恵みを、われらのために祈り求め給え。そは主がこの世を裁かんとて再び来り給う時、恐るることなく主を迎え奉らんがためなり。▲アーメン。
主よ、御身に向いてわが魂を挙(あ)げ奉れり。
▲わが天主よ、われ御身に依り頼めり。われ永遠に恥じることなからん。
祈願 全能の天主、願わくは御独り子(おんひとりご)をふさわしく迎え奉らんがために、われらに熱心なる祈りの精神と痛悔の念とを与え給え。われらの救い主の御来臨によりて潔められたる心をもつて主に仕え、御心に従いてこの世を送らんことを、われらの主キリストによりて切に願い奉る。アーメン。
かくて御言葉(みことば)はひととなりて、われらのうちに宿り給えり。
▲われらはその光栄を見奉りしが、そは父より来(きた)れる独り子の如き光栄なりき、すなわち恵みと真理とに満ち給いしなり。(ヨハネ 一ノ十四)
天降り(あまくだり)給いし救い主、われらはいまうやうやしく馬ぶねに近ずき、心より主を礼拝し奉る。われらは堅き信仰もて、主がたといかよわき人の子の如く見え給うとも、まことに活ける天主の御子(おんこ)にてましますことを信じ奉る。実に御身(おんみ)はまことの天主にして、始めなく永遠に御父より生まれ給う御者(おんもの)なり。天地(あめつち)にあるすべてのものを造り給いし御父(おんちち)の御言葉(みことば)は、すなわち御身なり。御身は御父の輝き、その全き映像なり。御身はまたその全能の御言葉をもつて、常によろずのものを保ち、かつ宰(つかさど)り給う。
▲ああわが主、わが天主よ、われ主を信じ奉る。ひれ伏して主を拝礼(はいれい)し奉る。
天主なる幼児(おさなご)イエズス、主はわれらを愛してわれらの救霊のため、すでに馬ぶねのうちに御みずからを天の御父に献げ給えり。
▲われらは今(いま)主の御前(みまえ)にひざまずきて主を讃美し、感謝を尽(つく)し、犯せし罪を一心に悔(くや)み奉る。主よ、われらは今より後(のち)万事に超えて主を愛し、終生(しゅうせい)主にのみ仕えまつらんことを約束し奉る。
われらはこの祈りを、慈しみ深き御母(おんはは)聖マリア、御養父(おんようふ)聖ヨゼフ、諸天使、信心深き羊飼いらおよび東の国の博士らの、愛と信心とに合わせて主に献げ奉る。
▲主よ、いまだ主を知らざる人々にはまことの信仰を、罪人(つみびと)には改心の御恵みを、死せる信者の霊魂には永遠の安息を与え給え。またすべての主の聖寵(せいちょう)に活くる者には、聖なる愛を増し、終りまで耐え忍ぶ力を授け給わんことを切に願い奉る。
祈願 天地(あめつち)を統(す)べ給う全能永遠なる天主、主は御みずからをこの世の小さき者に現わし給いしにより、われらは心よりへりくだり、御旨(みむね)に適(かな)いて御子の御降誕をふさわしく祝いまつらんと望み奉る。願わくはわれらをして御子にならい、主がいと小さき者に約束し給いし御国(みくに)にいたらしめ給わんことを。天主の御子なるわれらの主イエズス・キリストによりて願い奉る。▲アーメン。
天主にまします幼きイエズス、わが創造主、我が救世主、われ今(いま)御前(みまえ)に出(い)でて恭(うやうや)しく主を拝し奉る。▲いとうるわしく、いと愛すべき幼きイエズスよ、主の御降誕に当り、天の御父は喜びて主を見まもり給い、天使らは主を讃美し、御母(おんはは)聖マリア、御養父(おんようふ)聖ヨゼフは羊飼いらとともに主を礼拝したり。われは罪人(つみびと)なれば主の御前(みまえ)に出(い)ずるに足らざれども、願わくは世に降(くだ)り給える主を、あふるるばかりの喜びと感謝とをもつて拝み奉ることをわれにも許し給え。
聖にして恵みゆたかなる幼きイエズス、我は貧しくして何物をも持たざれども、わが心を主に献げ奉る。▲願わくはこれを潔(きよ)めて主の御住居(おんすまい)となし給え。また主は世を救わんために来(きた)り給いたれば、すべて主を知らざる人々をあわれみ、真理の光のうちにかれらを導き給え。かくて人々みな主を知り、主を愛し、主と共に平和のうちに生(い)くるにいたらんことを、聖母マリア、聖ヨゼフ、ならびに諸天使、諸聖人の御取次(おんとりつぎ)によりて願い奉る。アーメン。
ああ天主、われ、年の始めに当りて、過ぎし一年の間に受け奉りたるあまたの御恵みを謝し、また、この新しき年のために主の御祝福を願い奉る。願わくは御旨(みむね)の天に行わるる如く地にも行われんことを。主の御名(みな)は地上に尊(とうと)まれ、すべての人は救霊の道に導かれんことを。
▲われはこの新しき年の初穂として、わが肉身(にくしん)と霊魂、わが境遇と事業とを主に献げ奉る。願わくはこれを受け入れ給いて、主に仕え奉る熱心をわが心に新たならしめ給え。またわが親族、恩人、友人のためにも主の御保護を願い奉る。われをして主の聖寵のうちに、安らかにこの一年とわが一生とを過(すご)し、主の御旨によりて現世の旅路を終らん後(のち)、相共(あいとも)に天国の永福(えいふく)を得(え)しめ給え。われらの主キリストによりて願い奉る。アーメン。
全能永遠の天主、御父(おんちち)、主は人類を救わんとて、限りなき御(おん)慈しみによりいとも愛すべき御独り子をこの世に遣わし給い、おのが選民には天使をもつてその御降誕の福音を告げ給いしが、さらにくすしき星をもつて東方より三人の博士を幼児(おさなご)の御前に導き給いたり。
▲真理の源にまします天主、主の博士(はかせ)たちを召し給いしは、かれらによりて御子(おんこ)を万民に与え給わんためなることをわれらは知れり。幼きイエズス、今こそ御身はわれらのものなれば深くへり下りて御前(みまえ)にひれ伏し奉る。
いざ来(きた)れ、われらもろともに拝みまつらん。
▲主はまことにわれらの天主にましませばなり。
主イエズス、御身が世に来り給いし時、東方の博士たちは幼児(おさなご)が王たるをあらわす黄金、大司祭のしるしなる乳香(にゅうこう)、万民のために死にわたさるべきを示す没薬(もつやく)の三種の礼物(れいもつ)を献げて伏し拝みたり。
▲主よ、こいねがわくは礼物によりて信仰と愛とをあらわしたる三人の博士にならわしめ、わが心の愛を黄金(おうごん)となし、わがつたなき祈りを乳香となし、日々の苦難とぎせいとを没薬としてこれを受け入れ給え。
いざ来(きた)れ、われらもろともに拝みまつらん。
▲主はまことにわれらの天主にましませばなり。
主が博士たちを召し給いしは、すべて主を知らざる人々に御みずからを示さんとの思召し(おぼしめし)なりき。
▲主よ、かれらにも速やかに福音の光を輝やかして信仰に導き、やがて一人の牧者(ぼくしゃ)、一つの群(むれ)とならしめ給わんことを切に祈り奉る。アーメン。
主よ、願わくはわれらの心に聖寵を充(み)たし、われらにおのが罪を歎(なげ)き、祈りと善業(ぜんぎょう)とをもつてこれを償(つぐの)うを得しめ給え。そは来世において永遠に罰せらるるよりも、この世においてこれを償うをまされりとすればなり。われらの主キリストによりて願い奉る。アーメン。
主イエズス・キリスト、主は世をあがなわんがためにこの世に生れ、ユデア人(びと)に棄てられ、裏切者なるユダのために口づけをもつて敵に売られ、なわめを受けて罪なき小羊の如くとしよに引かれ、アンナ、カイファ、ピラト、ヘロデの前に侮(あなど)りあざけられ、偽証人の陥(おとしい)るるところとなり、むち打たれ、辱しめられ、つばきせられ、ほほを打たれ、いばらの冠(かんむり)をかむらせられ、よしにてたたかれ、衣をはがれ、十字架にくぎ付けにせられ、酢と苦きものとをなめさせられ、やりにて貫かるるをも甘んじ受け給えり。▲主、願わくは、われらの身に余りてかたじけなきこの尊き御苦難と、聖なる十字架と、御死去とによりて、われらに地獄の苦しみを免れしめ給え。また主と共にはりつけにせられて、悔い改めたる、盗賊を導き給いし処(ところ)へ、われらをも導き給え。聖父(ちち)と聖霊と共にとこしえに生き、かつしろしめし給う主なるかな。アーメン。
悲しみに沈める御母(おんはは)は涙にむせびて、御子(おんこ)の懸(かか)り給える十字架のもとにたたずみ給えり。
▲歎(なげ)き憂い悲しめるその御魂(おんたましい)は、鋭き刃(やいば)もて貫かれ給えり。
天主の御独り子(おんひとりご)の尊き御母は、いかばかり憂い悲しみ給いしぞ。
▲尊き御子(おんこ)の苦しみを見給える、慈しみ深き御母は、悲しみに沈み給えり。
キリストの御母のかく悩み給えるを見て、たれか涙を注がざる者あらん。
▲キリストの御母の御子と共にかく苦しみ給うを見て、たれか悲しまざる者あらん。
聖母は、イエズスが人々の罪のため、責められむち打たるるを見給えり。
▲聖母はまた最愛の御子が御死苦(ごしく)のうちに棄てられ息絶え給うを眺め給えり。
慈しみの泉なる御母よ、われをして御悲しみのほどを感ぜしめ、共に涙を流さしめ給え。
▲わが心をして、天主たるキリストを愛する火に燃えしめ、一(いつ)にその御心(みこころ)に適(かな)わしめ給え。
ああ聖母よ、十字架にくぎ付けにせられ給える御子の傷を、わが心に深く印し給え。
▲わがためにかく傷つけられ、苦しみ給いたる御子の苦痛を、われに分(わか)ち給え。
命のあらん限り、御身と共に熱き涙を流し、はりつけられ給いしイエズスと苦しみを共にするを得しめ給え。
▲われ十字架の側(かたわら)に御身と立ちて、相共(あいとも)に歎(なげ)かんことを望む。
童貞のうちいとも勝(すぐ)れたる童貞、願わくは、われを排(しりぞ)け給わずして、共に歎くを得しめ給え。
▲われにキリストの死を負わしめ、その御苦難を共にせしめ、その御傷を深くしのばしめ給え。
御子の御傷(おんきず)をもつてわれを傷つけ、その十字架と御血(おんち)とをもつて、われを酔(よ)わしめ給え。
▲聖なる童貞女(どうていじょ)よ、われの地獄の火に焼かれざらんため、審判の日にわれを守り給え。
ああキリストよ、われこの世を去らんとき、御母によりて勝利の報いを得しめ給え。
▲肉身(にくしん)は死して朽(く)つるとも、霊魂には、天国の栄福(えいふく)をこうむらしめ給え。アーメン。
栄えある主イエズスよ、主はわれらを救わんために十字架につけられて死し、御約束(おんやくそく)の如く三日目によみがえり、そを証(あか)さんため弟子たちに御みずからを示し給えり。▲主は御死去(ごしきょ)をもつて罪に勝ち、御復活(ごふっかつ)をもつて死と地獄とに勝ち、御みずからの天主にましますことを証(あか)し給えば、われらは主の御復活を崇め主の大いなる御栄え(みさかえ)を喜び奉る。
これこそ主の造り給いし日なれ。アレルヤ。
▲この日にあたりわれら喜びかつ踊らん。アレルヤ。
主イエズス、主は御復活の後(のち)弟子たちに現われ、力を落し、恐れいたるかれらを慰め、励まし、またかれらに授け給いし御教え(みおしえ)を完(まっと)うし給えり。
▲死と地獄とに勝ち給いたるイエズス、われらの信仰弱きをあわれみてこれを強め、信仰のために戦うべき時に当りて、われらに助けをくだし給え。主よ、御身の公教会をしてますます栄えしめ、常に地獄の門に勝たしめ給わんことを、伏して願い奉る。アーメン。
主イエズス・キリスト、主は御復活後、なおこの世に止(とど)まり給い、しばしば弟子たちにあらわれてその御教え(みおしえ)のまことなるを証(あか)し、かれらの信仰を固め居(い)給いしが、四十日目に聖母マリアと御弟子(みでし)らの前にて、オリベト山より栄えのうちに天に昇り、御父の家にわれらの住家(すみか)を備え給えり。
▲われらは主の御栄え(みさかえ)を崇め、感謝し、主の残し給いし御教え(みおしえ)を守らんと決心し奉る。願わくは今日(こんにち)主の御昇天(ごしょうてん)を祝いまつるわれらにも、ついには幸いなる昇天の御恵み(おんめぐみ)にあずかるを得しめ給え。アーメン。
天主なる聖霊、主は聖父(ちち)と聖子(こ)より出(い)ずる、二位の間の永遠の愛のきずなにてまします御者(おんもの)なり。主は常に万物の上に愛の御眼(おんまなこ)をそそぎ、すべての御業(みわざ)を行い給う。
▲われらは聖霊の天主にましますを信じ、礼拝をささげ、今日(こんにち)までわれらに賜わりし霊肉の賜物を心より感謝し奉る。
主イエズスはこの世を去り給う時、御弟子(みでし)らに聖霊を遣(つか)わさんと約(やく)し給いしにより、かれらは聖母マリアと共に、心を合わせて祈りいたりしが、聖霊は火の如き舌の形にて現われ、かれらの心に降(くだ)りてそを充(み)たし給いたれば、かれらは生まれ変(かわ)りし者の如くなり、諸国の言葉を語り、布教に専心せり。
主よ、聖霊を遣わし給え。しかしてよろずのものは造られん。
▲地の面(おもて)は新たにならん。
主なる聖霊、われらの上にも降(くだ)りてわれらの心を充たし、新たになして、天主に対し、人に対し、すべてにおいて正しき道を歩ましめ給え。▲アーメン。
聖霊来(きた)り給え、天(てん)より御光(おんひかり)の輝きをはなち給え。
▲貧しき者の父、恵みの与え主、心の光にます御者(おんもの)来り給え。
いと優れたる慰め主、霊魂の甘美なる友、心のなごやかなる楽しみ。
▲つかれたる時の憩い、暑き時の涼しさ、憂うる時の慰め。
いたつて幸いなる光よ、主を信ずる者の心に来り充ち給え。
▲主の御助け(おんたすけ)あるにあらざれば人には罪ならざる所(ところ)なからん。
こいねがわくは汚(けが)れたるを清め、乾(かわ)けるをうるおし、傷つけられたるをいやし給え。
▲固きを柔(やわ)らげ、冷えたるを暖め、曲(まが)れるを直(なお)くし給え。
主を頼む信者に神聖なる七つの賜物を施し給え。
▲善徳の勲(いさお)を積み、救霊の彼岸(ひがん)にいたり、永遠に喜ぶを得しめ給え。アーメン。
すべての被造物の源にまします天主、主は造られずして永遠の始めよりましまし、御本性(ごほんせい)にては一体、ペルソナにては三位(さんい)にましまし給う。主はすべての見ゆるものと見えざるものを無より造り出(いだ)し、これを宰(つかさど)り給うなり。
▲天使らは主の御前(みまえ)に、聖なるかな、聖なるかな、聖なるかなと主をほめたたえ奉れば、われらも共に声を合わせて主を讃美し奉る。主よ、われらを見棄て給わず、わが足らざるを補いて、天使らと共に主を礼拝するを得しめ給え。
われらは天主の子と呼ばるるにふさわしからざれども、最愛の御独り子(おんひとりご)にましますわれらの主イエズス・キリストの福音の光に照らされ、洗礼の恵みをこうむり天主の子となるの幸いを得たり。ああこの信仰の御恵み(おんめぐみ)は、いかにしてか感謝すべき。
▲願わくは、われらが主の子として変(かわ)らざる信仰を保ち、御戒め(おんいましめ)を守り、天主に従い奉るを得んことを、ひたすらこいねがい奉る。アーメン。