天主の御母(おんはは)にして
われらの母なる童貞聖マリアよ、
御身は造られしもののうちにてたぐいなく、
かつ善徳の鑑(かが)みにましませば
われ御膝下(おんひざもと)にひれ伏して、
御身が天主より恵まれ給いしを讃美し、
謹(つつし)みてわが身を献げ奉る。
▲なお諸天使・諸聖人の、
常に尽せる敬いと愛とを献げんと欲すれども
能(あた)わざれば、せめて力のあらん限り讃美し、
かつ仕えまつらんと欲し、
守護の天使、諸聖人の前にて、一心に尊み敬い、
わが慈しみ深き母、わが元后、
わが保護者と仰ぎ頼み、わが肉身と五感、
わが霊魂と知恵、ならびにわが愛情、
わが生命をも託(まか)せ奉る。
われ終生、聖母の子たるを楽しみ、
聖母のしもべたるを高き位よりも重んじ、
御名をほめ、御恵みを人に顕(あら)わし、
ひとえに仕え奉らん。
願わくはこの志をあわれみて、
これを果(はた)すを得しめ給え。
聖母は絶えずわれらを思いて、
恵みを与えんと計り給えば、
われ、いかで一日もこれを忘るるを得んや。
ああ聖母、われを守り給わば
われに足らざるところなからん。
故にこの涙の谷より、御助けをひとえに仰ぎ頼み奉る。
ああ聖母よ、悪しきへびあり、
絶えず謀計(ぼうけい)をめぐらして
われを傷つけ害(そこな)わんとす。
▲御身はかのへびの強くして、
わが弱きことをよく知り給えば、
いつにても、いずこにても、われを棄て給わず、
御足(みあし)もて、かれが頭(こうべ)を踏み砕き給え。
ああ聖母よ、浮世の波風は常に吹き荒(すさ)みて、
われを漂わし沈めんとす。
御身は海路(うみじ)の難(かと)うして、
我が危うきをはるかに見給えば、
こいねがわくは希望の星となり、
終りなき安楽の港に、われを導き給え。
ついに諸聖人と共に、限りなく御名(みな)をほめ、
御恵みを謝(しゃ)し、
共に天主を愛し、かつ讃美するを得しめ給わんことを、
聖母の御慈しみによりて願い奉る。アーメン。